これをしないとダメ!!居宅介護支援事業所の運営基準減算について

居宅介護支援を行なうにあたって避けて通ることができないのが、運営基準減算にならない業務運営です。

今回は運営基準減算のルールについて、3つのタイミング別に解説します。

 

 

新規依頼があった時

まずは、利用者さんの新規依頼があった時です。もう少し正確にいうと、居宅介護支援の提供開始時(契約時)ということになります。

 

やるべきこと

利用者さんに対して、以下の2点について説明し理解を得る

●利用者は複数の指定居宅サービス事業者等を紹介するよう求めることができること

●利用者は居宅サービス計画に位置付けた指定居宅サービス事業者等の選定理由の説明を求めることができること

※これは平成30年に始まったルールです。

 

ポイント

説明をする際には、
 

●文書を交付し、口頭で説明すること

●利用者さんのから署名をもらうこと

が必要とされています。
 

対応方法

現実的な対応としては、
 
❖事前準備
①重要事項説明書に上記2点について記載しておく
❖契約時
②契約時に口頭で説明し、署名をいただく
(③)支援経過に口頭で説明したことを記載しておく
といったところになるかと思います。
※③は行政の考え方次第で必要があれば対応しましょう。
 
 

やらないと

契約月から解消された月の前月まで減算

 

 

毎月

続いて2つ目は毎月やらなければならないことです。いわゆるモニタリングのことですね。

利用者さんやスタッフから『モニタリングって何ですか?』って聞かれて、『体調に変わりがないかどうかとか・・・』など、あいまいに答えるケアマネさんが大変多いですが、モニタリングとは

居宅サービス計画の実施状況の把握(利用者についての継続的なアセスメントを含む)
のことをいいます。
 
『体調に変わりがないかどうかとか・・・』も間違いではありませんが、『計画の実施状況の把握のことです』と言い切ると、ちょっとカッコつけられます。
 
 

やるべきこと

●月に1回以上利用者の居宅を訪問し、利用者に面接する(特段の事情のある場合を除く)

●月に1回以上モニタリングの結果を記録する

 

ポイント

[月に1回以上]の考え方ですが、30日に1回以上という意味ではありません。
1月中に1回、2月中に1回といったように、月の間に1回以上訪問し記録することを意味します。
 
これは要介護の利用者さんに対して必要な対応です。
地域包括支援センター(介護予防支援事業所)からの委託で要支援者の担当をしている場合、要支援者については、別のルールがあります。

 

対応方法

現実的な対応としては、
 
①毎月利用者さんにアポを取って居宅を訪問する
②モニタリングの内容を忘れずに記録する
です。スケジュールをしっかり組んで抜けのないように実施しましょう。
 

特段の事情のある場合

特段の事情のある場合は、[月に1回以上利用者の居宅を訪問し、利用者に面接する]ことはしなくてもよいことになっています。

どんな場合があるでしょうか?

●月の間中入院していた場合
・モニタリングの必要はありません。どのみち給付管理をしないので、その月は報酬が発生しません。
●入院していた人が月末ぎりぎりで退院した場合
・退院後の月内にケアマネ事業所の営業日がない場合は、休日出勤までしてモニタリングを行なう必要はないと思います。
この場合、翌月早々にモニタリング(前月分)を行ない、その旨も併せて記録しましょう。
・退院後の月内にケアマネ事業所の営業日がある場合は、頑張ってモニタリングを行なうことが望ましいと思います。
※この辺りの考え方は行政によって異なると思いますので、適宜ご自身で確認ください。
●月の間中入院ショートステイを利用していた場合
・居宅への訪問はできないので、ショートステイでモニタリングを行ない、その旨も併せて記録しましょう。

 

やらないと

モニタリング訪問+面接+記録を行なっていない月の間は減算

 

 

居宅サービス計画に動きがある時

最後は居宅サービスに動きがある時にやらなければならないことです。

具体的にいうと以下のタイミングです。

●居宅サービス計画の新規作成時
●居宅サービス計画の変更時
●要介護更新認定を受けた時
●区分変更認定を受けた時
 

やるべきこと

やるべきことは以下の5つです。

利用者の居宅を訪問し、利用者及びその家族に面接してアセスメントをする
居宅サービス計画の原案を作成する
サービス担当者会議の開催を行なう(やむを得ない事情がある場合はサービス担当者への照会等も可)
居宅サービス計画の原案の内容について利用者又はその家族に対して説明し、文書により利用者の同意を得る
居宅サービス計画を利用者+サービス担当者に交付する

 

ポイント

いわゆるケアマネジメント・サイクルのサービス開始までの部分の話になります。

アセスメント→プラン原案作成→担当者会議→プランに同意を得る(原案→本案)→交付というプロセスです。

 

対応方法

現実的な対応としては、
 
①認定の有効期間の把握など、スケジューリングをしっかり行なう
②プランをいじる時はケアマネジメント・サイクルを回すことを習慣づける
ということに尽きます。やるしかありません!
 

ケアマネジメント・サイクルとサービス提供の順番は変わってもよい

これらの業務は、(新しい計画に基づく)サービスの提供の前に行なうことが原則ですが、以下の場合はサービスの提供が先になってもよいとされています。
●緊急的なサービス利用等やむを得ない場合
●効果的・効率的に行うことを前提とする場合

ただし、その場合でも以下のような対応が必要です。
●個々の業務を事後的に可及的速やかに実施
●その結果にサービス変更の必要があれば、居宅サービス計画を見直す

サービス担当者会議を行なわなくてもよいやむを得ない理由

やむを得ない理由がある場合については、サービス担当者会議を行なう代わりにサービス担当者に対する照会等でもよいとされています。やむを得ない理由については以下のようなことが想定されています。

●利用者(末期の悪性腫瘍の患者)の心身の状況等により、主治の医師又は歯科医師の意見を勘案して必要と認める場合
具体的には
①主治の医師等が日常生活上の障害が1ヶ月以内に出現すると判断した時点以降に
②主治の医師等の助言を得た上で
③介護支援専門員がサービス担当者に対する照会等により意見を求めることが必要と判断した場合●開催の日程調整を行ったが、サービス担当者の事由により、サービス担当者会議への参加が得られなかった場合●居宅サービス計画の変更であって、利用者の状態に大きな変化が見られない等における軽微な変更の場合

照会等で意見を求める場合の留意点

担当者会議を行なわず、サービス担当者から照会等により意見を求める際の留意点は以下の通りです。
●利用者の状況等についての情報や居宅サービス計画原案の内容を共有できるようにする

 

やらないと

作成した居宅サービス計画の目標期間の開始月から解消された月の前月まで減算は減算

 

 

まとめ

運営基準の中でも、守らないと減算になるルールについて解説しました。業務を見直すきっかけとなれば幸いです。

これらの基準を守りながら日々の業務を行なうことは正直なところ大変です。私もケアマネ時代に苦労したことを思い出します。ですが、実地指導を知らせが来てから慌てて書類を作成するというのは、効率も悪く、精神的にもよくありませんし、ハイリスクです。そして、ケアマネとしての業務を怠っているということは利用者さんが不利益が被っているということを忘れてはなりません。

業務を滞りなく行なう秘訣は、習慣化と効率化につきると思います。早く始めれば早く成果がでますよ。

 

 

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