介護保険によるデイサービスの事業を行なうためには自治体から指定を受ける必要があります。
また、要介護者を対象とするサービスと要支援者を対象とするサービスを両方行なう場合には、それぞれ指定を受けることが必要です。
要支援者を対象とするデイサービス(訪問介護も)は保険給付の対象から外れ、地域支援事業に移りましたので、ちょっとわかりにくくなっています。
要介護者を対象とするデイサービスと要支援者を対象とするデイサービスの違い
要介護者を対象とするデイサービスと要支援者を対象とするデイサービスは以下のような棲み分けになっています。
対象者 | サービス |
要介護者 | 通所介護・地域密着型通所介護 (保険給付の中の介護給付) |
要支援者 (事業対象者) |
第1号通所事業 (地域支援事業の中の総合事業の中の第1号事業) |
保険給付とは要介護や要支援の被保険者に対する給付のことをいいます。
その中で、要介護被保険者を対象とする給付のことを介護給付といいます。
地域支援事業とは介護保険の被保険者などを広く対象とした事業です。
総合事業とは地域支援事業のひとつで、地域の高齢者などを支援する事業です。正しくは介護予防・日常生活支援総合事業といいます。
第1号事業とは総合事業のひとつで、要支援被保険者や事業対象者を対象とする支援を行なう事業です。介護予防・生活支援サービス事業ともいいます。
細かいことはさておき、どちらのサービスも行ないたい場合には、両方の指定を取る必要があるということになります。
通所介護と地域密着型通所介護の違い
要介護者を対象とするサービスには通所介護と地域密着型通所介護があります。
この2つのサービスは利用定員によって区分けされています。
またサービスを利用できる人(利用者)ついても要件が異なります。
利用定員 | サービス | 利用できる人(利用者) |
1人~18人 | 地域密着型通所介護 | 事業所の所在する市町村の要介護被保険者 |
19人以上 | 通所介護 | 要介護被保険者 |
※利用できる人(利用者)については例外もあります。
どちらかにするかを決めて[指定]を取得することとなります。
申請窓口・指定権者
[通所介護](要介護者対象)の場合
通所介護の指定を受けるための申請窓口は事業所の所在地によって変わります。
事業所のある都道府県が基本ですが、事業所の所在地が政令指定都市・中核市の場合は政令指定都市・中核市の市長が指定権者になりますので、政令指定都市や中核市が申請窓口となります。
事業所の所在地 | 申請窓口 |
事業所の所在地が政令指定都市の場合 | 政令指定都市 |
事業所の所在地が中核市の場合 | 中核市 |
それ以外の場合 | 都道府県 |
[地域密着型通所介護](要介護者対象)の場合
事業所が所在する市町村の長が指定権者になります。事業所が所在する市町村の役所・役場が申請窓口になります。
[第1号訪問事業](要支援者対象)の場合
第1号通所事業は市町村単位の事業です。各市町村の長が指定権者になります。サービスを提供したい利用者さんの住む市町村の役所・役場が申請窓口になります。
事業所が所在する市町村の住民だけを対象にすればよい場合は、事業所の所在する市町村に申請します。近隣市町村の住民にもサービス提供したい場合は、近隣市町村にも申請することが必要です。
守るべき基準
[通所介護](要介護者対象)の場合
訪問介護の指定を受け、事業を行なう際には、条例で定める[人員基準][設備基準][運営基準]に従わなければなりませんが、守るべき基準は事業所の所在地によって変わります。
事業所の所在地 | 守るべき基準 |
事業所の所在地が政令指定都市の場合 | 政令指定都市が条例で定める基準 |
事業所の所在地が中核市の場合 | 中核市が条例で定める基準 |
それ以外の場合 | 都道府県が条例で定める基準 |
守るべき基準は国が作った[指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成十一年三月三十一日厚生省令第三十七号)]を基に作られています(大体同じような内容です)。
他にも[介護保険法]、[介護保険法施行令]、[介護保険法施行規則]などの法令に従い事業を行なうことが必要です。
[地域密着型通所介護](要介護者対象)の場合
地域密着型通所介護の指定を受け、事業を行なう際には、事業所が所在する市町村の条例等で定める[人員基準][設備基準][運営基準]に従わなければなりません。
他にも[介護保険法]、[介護保険法施行令]、[介護保険法施行規則]などの法令に従い事業を行なうことが必要です。
[第1号通所事業](要支援者対象)の場合
第1号通所事業の指定を受け、事業を行なう際には、指定を受ける市町村の要綱等で定める[人員基準][設備基準][運営基準]に従わなければなりません。
他にも[介護保険法]、[介護保険法施行令]、[介護保険法施行規則]などの法令に従い事業を行なうことが必要です。
事業所について
事業所の立地・建物
通所介護は利用者さんが通い滞在するタイプのサービスです。事業所は利用者さんが安心して滞在できる立地や建物でなければなりません。
立地について
事業所の所在地は市街化区域内でなければなりません(市街化調整区域内は原則不可)。
非線引き区域内の場合は要確認。
建物について
●賃貸・中古の場合
建物の種類や広さによって用途変更+建築確認という手続きが必要になる場合があります。
※検査済証または建築確認申請を受けていることの証明が必要になる場合があります。
●新築の場合
建築基準法に従って建てられていることが必要です。
※検査済証または建築確認申請を受けていることの証明が必要になる場合があります。
設備について
消防設備・避難設備が必要です。
その他
それ以外にも条例等の規制がある場合は従う必要がある場合があります。
駐車場
利用者さんを送迎する車のための駐車場が必要です。
事業所の内部・設備
●食堂及び機能訓練室(利用定員数x3㎡)
●静養室
●相談室
●事務室
●トイレ
が必要です。
他にも提供するサービスの内容に応じて
●浴室
●厨房
などが必要です。
要介護者向けの通所介護または地域密着型通所介護と要支援者向けの第1号通所事業の両方の指定を取る場合、それぞれで食堂、相談室、トイレ等を用意する必要はありません(共用でOKです)。
備品
●鍵付きキャビネット
などが必要です。
人員について
通所介護・地域密着型通所介護・第1号通所事業の指定を取得する際に最低限必要な人員は以下の通りです。
要介護者向けの通所介護または地域密着型通所介護と要支援者向けの第1号通所事業の両方で指定を取る場合、それぞれ別の人員を用意する必要はありません(兼務できます)。
職種 | 人数 |
管理者 | 1人(常勤) |
生活相談員 | 1人 (生活相談員か介護職員のどちらかひとりは常勤) |
介護職員 | 1人(利用者さん15人まで) 2人(利用者さん20人まで) 3人(利用者さん25人まで) … (生活相談員か介護職員のどちらかひとりは常勤) |
看護職員 | 1人 |
機能訓練指導員 | 1人 |
管理者
資格の要件
ありません。
必要な人数
1人(常勤)
常勤とは
当該事業所における勤務時間が、当該事業所において定められている常勤の従業者が勤務すべき時間数(三二時間を下回る場合は三二時間を基本とする。)に達していることをいうものである。同一の事業者によって当該事業所に併設される事業所の職務であって、当該事業所の職務と同時並行的に行われることが差し支えないと考えられるものについては、それぞれに係る勤務時間の合計が常勤の従業者が勤務すべき時間数に達していれば、常勤の要件を満たすものであることとする。
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準について
生活相談員、介護職員などと兼務することができます。
生活相談員
資格の要件
●社会福祉士
●精神保健福祉士
●社会福祉主事任用資格
※都道府県により異なる場合があります。
必要な人数
指定通所介護の提供日ごとに、当該指定通所介護を提供している時間帯に生活相談員(専ら当該指定通所介護の提供に当たる者に限る。)が勤務している時間数の合計数を当該指定通所介護を提供している時間帯の時間数で除して得た数が一以上確保されるために必要と認められる数
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準
分かりにくいですね…。概ねサービス提供時間に常時1人配置が必要とお考え下さい。
生活相談員が
●サービス担当者会議・地域ケア会議への出席
●利用者宅を訪問し、在宅生活の状況確認や利用者や家族への相談・援助
●地域の町内会、自治会、ボランティア団体等と連携し、社会資源の発掘・活用
などの活動をした場合は、事業所でサービス提供を行なった時間に含んでよいことになっています。
介護職員
資格の要件
ありません。
必要な人数
指定通所介護の単位ごとに、当該指定通所介護を提供している時間帯に介護職員(専ら当該指定通所介護の提供に当たる者に限る。)が勤務している時間数の合計数を当該指定通所介護を提供している時間数で除して得た数が利用者の数が十五人までの場合にあっては一以上、十五人を超える場合にあっては十五人を超える部分の数を五で除して得た数に一を加えた数以上確保されるために必要と認められる数
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準
やはり分かりにくいですね…。概ねサービス提供時間に利用者さんの人数に応じた数(利用者さん15人まで1人、20人まで2人、25人まで3人…)の介護職員が常時配置できる程度の人数が必要とお考え下さい。
看護職員
資格の要件
●看護師
●准看護師
必要な人数
看護師又は准看護師(以下この章において「看護職員」という。) 指定通所介護の単位ごとに、専ら当該指定通所介護の提供に当たる看護職員が一以上確保されるために必要と認められる数
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準
サービス提供時間を通して配置する必要はありませんが、午前、午後と別々にサービス提供する場合は、午前も午後も配置が必要です。また、配置していない時間については、看護職員はサービス提供時間を通して事業所へ駆けつけることができる体制や適切な指示ができる連絡体制などの「密接、かつ適切な連携」が必要とされています。
病院・診療所・訪問看護ステーションとの連携により、看護職員が営業日ごとに利用者の健康状態の確認を行い、病院・診療所・訪問看護ステーションとサービス提供時間を通して事業所へ駆けつけることができる体制や適切な指示ができる連絡体制などの「密接、かつ適切な連携」を図ることで看護職員が確保されているものとすることもできます。
機能訓練指導員
資格の要件
●理学療法士
●作業療法士
●言語聴覚士
●看護職員
●柔道整復師
●あん摩マッサージ指圧師
●はり師(機能訓練指導員を配置した事業所で6月以上勤務し、機能訓練指導に従事した経験が必要)
●きゅう師(機能訓練指導員を配置した事業所で6月以上勤務し、機能訓練指導に従事した経験が必要)
必要な人数
事業所に1人いればよいです。必ず毎日配置する必要はありません。
申請締め切り日と指定日
指定日
指定日は基本的に毎月1日です。
申請締め切り日
申請の締め切り日は窓口によって異なります。
埼玉県の場合以下の通りです(一部のみ掲載)。
窓口 | 申請の締め切り日 |
埼玉県 | 前月10日 |
さいたま市 | 前月10日 |
川越市 | 前々月末日 |
越谷市 | 前々月20日 |
川口市 | 前々月末日 |
和光市 | 前々月末日 |
最後に ご注意ください
ここに掲載している内容は、当センターが独自にまとめたものです。内容が自治体によって異なる場合、古くなってる場合、間違っている場合などがあり得ますので、ご注意ください。
指定申請を行なう際は、必ず、指定権者に確認を行ない、指定権者が示す内容に従っていただきますようお願いいたします。
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