日中支援加算(Ⅱ)について【障害者グループホーム(介護包括型共同生活援助)】

 

ここで取り扱うのは、障害者を対象としたグループホームです。認知症高齢者を対象としたグループホーム【認知症対応型共同生活介護】とは異なります。

 

日中支援加算の考え方

グループホームは、日中活動等を行なう利用者を対象に、主に夜間に支援を行なうサービスという位置づけになっています(実態はともかく💦)。

従いまして、日中などに職員が不在の時間帯があっても問題ありません。

しかしながら、利用者が長期滞在するうちに、重度化・高齢化が進んだ場合、日中活動のために外出できないといった事態が生じることになります。また、体調不良等の理由により、予定していた日中活動に出かけることができないということも起こります。この場合、職員が日中に対応する必要が生じますので、これに対する手当として考えられているのが日中支援加算になります。

 

日中支援加算は以下の2つに分類されます。

①外出が困難な利用者を対象とした日中支援加算(Ⅰ)

②体調不良等により外出できなかった利用者を対象とした日中支援加算(Ⅱ)

 

このうち、ここでは日中支援加算(Ⅱ)について解説します。

 

日中支援加算(Ⅱ)とは

日中支援加算(Ⅱ)は、基準上、以下の通り定義されています。

指定共同生活援助事業所が、生活介護等利用者が心身の状況等によりこれらのサービスを利用することができないとき又は就労することができないときに、当該利用者に対して日中に支援を行った場合であって、当該支援を行った日が1月につき2日を超える場合に、当該2日を超える期間について、1日につき所定単位数を加算する。(一部修正)
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準

予定していた日中の活動ができなかった利用者に対し、日中に支援を行なった場合に、支援を行なった利用者について1日ごとに得ることができる加算になります。

 

それでは詳しく見ていきましょう。

 

日中支援加算(Ⅱ)の要件

 

対象者

対象者の要件は、心身の状況等によって予定していた日中の活動ができなかった利用者さんです。

どのような活動が日中の活動に該当するかについては、以下のような活動が該当します。

日中活動の例
生活介護
自立訓練
就労移行支援
就労継続支援
就労定着支援
療養介護
地域活動支援センター
通所介護(介護保険)
通所リハビリテーション(介護保険)
地域密着型通所介護(介護保険)
第1号通所事業のうち従前の介護予防通所介護に相当するもの(介護保険)
介護予防通所リハビリテーション(介護保険)
精神科ショート・ケア
精神科デイ・ケア
精神科デイ・ナイト・ケア
勤務先(会社、販売店、工場など)

 

「心身の状況等」について

サービスの利用や就労ができない際の理由として挙げられている「心身の状況等」については、体調不良等とされています。

問32  日中支援加算(Ⅱ)について、就労している利用者に対して本加算が算定される、「心身の状況等により当該障害福祉サービス等を利用することができないとき」とは、具体的にどのような場合を想定しているのか。

答  体調不良等により出勤ができない場合を想定している。

平成 26 年度障害福祉サービス等制度改正に関するQ&A

このケースの取り扱いについては、指定権者により見解が分かれますので、必要に応じて、問い合わせを行なうことお勧めします。

 

職員体制

日中に支援を行なう世話人または生活支援員を加配することが必要です。

加配
加えて配置すること

具体的には人員基準上で最低限必要な世話人または生活支援員を常勤換算数で0.1人以上上回るように配置をすればよいということです。

加配の例:世話人が常勤換算で2.3人、生活支援員が常勤換算で0.8人最低限必要な事業所の場合
①世話人を常勤換算で2.4人以上になるように配置する

 または

②生活支援員を常勤換算で0.9人以上になるように配置する

尚、加配する世話人・生活支援員は、外部委託など事業所の従業者以外の人でも問題ありません。

尚、加配した世話人・生活支援員の勤務時間については、人員基準上の世話人・生活支援員の常勤換算数を算定する際の勤務時間には含むことができませんのでお気をつけください。

 

体制届

この加算を取得するにあたって、事前の体制届の提出は必要ありません。

 

計画への位置づけ

日中活動サービス

以下の日中活動サービスについては、この加算を取得するにあたっては、サービス等利用計画(相談支援専門員が作成する計画)か個別支援計画に位置付けておかなければなりません。

地域活動支援センター
通所介護(介護保険)
通所リハビリテーション(介護保険)
地域密着型通所介護
第1号通所事業のうち従前の介護予防通所介護に相当するもの(介護保険)
介護予防通所リハビリテーション
精神科ショート・ケア
精神科デイ・ケア
精神科デイ・ナイト・ケア

ですが、それ以外の日中活動についても、個別支援計画に位置付けておくのがベターです。

 

日中活動支援

日中活動支援の内容については、個別支援計画に位置付けることが必要です。

アセスメントにより、その利用者が日中に必要とする支援内容を明確にし、計画に記載します。

 

支援の実施

実際に、日中に支援を実施することが必要です。

計画に位置付けた支援内容を実施します。

但し、同じ月の2日目の支援日までは、加算の算定はできません。

算定できない日の例
1日、4日、5日、13日に日中支援を行なった場合
→5日、13日のみ算定できる

 

 

日中支援加算(Ⅱ)の報酬

 

報酬算定の仕組み

日中支援加算(Ⅱ)の報酬は、日中支援加算の対象となる支援を行なった利用者を対象に、1日ごとに算定できます。

算定対象 算定方法
日中支援加算(Ⅱ)の対象となる支援を行なった利用者のみ 1日ごと

 

単位数は、①同じ日に、事業所全体で日中支援加算の対象となる支援を行なった利用者の数、②日中支援加算(Ⅱ)の対象となる支援を行なった利用者の障害支援区分によって異なる仕組みとなっています。

尚、利用者の数をカウントする際には日中支援加算(Ⅰ)だけでなく、日中支援加算(Ⅱ)の対象利用者も含めます。

支援を行なった利用者の数(事業所計) 支援を行なった利用者の障害支援区分が3以下
  [なし,1,2,3]
支援を行なった利用者の障害支援区分が4以上
  [4,5,6]
1人 270単位 539単位
2人以上 135単位 270単位

 

 

報酬シミュレーション

対象者:1人[区分1] 支援日数:10日
地域:さいたま市(3級地)→1単位単価:11.20

単位数:270単位

270✕10✕11.20=30,240円

 

対象者:1人[区分5] 支援日数:10日
地域:さいたま市(3級地)→1単位単価:11.20

単位数:539単位

539✕10✕11.20=60,368円

 

対象者:2人[区分1][区分5] 支援日数:10日
地域:さいたま市(3級地)→1単位単価:11.20

単位数:135単位、270単位

135✕10✕11.20+270✕10✕11.20=45,360円

 

対象者:3人
支援日数:20日
地域:さいたま市(3級地)→1単位単価:11.20

単位数:270単位

270✕3✕20✕11.20=181,440円

 

対象者が1人なのか、2人以上なのかで報酬が変わる仕組みとなっている関係で、対象者が1人でも、2人でも報酬はほぼ同額になります。対象者が3人以上の場合は、報酬が増額されるイメージです。

 

 

 

 

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