日中支援加算(Ⅰ)について【障害者グループホーム(介護包括型共同生活援助)】

 

ここで取り扱うのは、障害者を対象としたグループホームです。認知症高齢者を対象としたグループホーム【認知症対応型共同生活介護】とは異なります。

 

日中支援加算の考え方

グループホームは、日中活動等を行なう利用者を対象に、主に夜間に支援を行なうサービスという位置づけになっています(実態はともかく💦)。

従いまして、日中などに職員が不在の時間帯があっても問題ありません。

しかしながら、利用者が長期滞在するうちに、重度化・高齢化が進んだ場合、日中活動のために外出できないといった事態が生じることになります。また、体調不良等の理由により、予定していた日中活動に出かけることができないということも起こります。この場合、職員が日中に対応する必要が生じますので、これに対する手当として考えられているのが日中支援加算になります。

 

日中支援加算は以下の2つに分類されます。

①外出が困難な利用者を対象とした日中支援加算(Ⅰ)

②体調不良等により外出できなかった利用者を対象とした日中支援加算(Ⅱ)

 

このうち、ここでは日中支援加算(Ⅰ)について解説します。

 

日中支援加算(Ⅰ)とは

日中支援加算(Ⅰ)は、基準上、以下の通り定義されています。

指定共同生活援助事業が高齢又は重度の障害(者65歳以上又は障害支援区分4以上の障害者をいう。)であって日中を共同生活住居の外で過ごすことが困難であると認められる利用者に対して共同生活援助計画に基づき日中に支援を行った場合に、日中支援対象利用者の数に応じ1日につき所定単位数を加算する。ただし日曜日土曜日又は国民の祝日に支援を行った場合については算定しない。(一部修正)
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準

一定の要件を満たした利用者に対し、個別支援計画に位置付けた上で日中に支援を行なった場合に、支援を行なった利用者について1日ごとに得ることができる加算になります。

 

それでは詳しく見ていきましょう。

 

日中支援加算(Ⅰ)の要件

 

対象者

対象者の要件は以下の2つです。2つとも満たすことが必要です。

対象者要件① 65歳以上または区分4以上

対象者要件② 日中を共同生活住居の外で過ごすことが困難であると認められる利用者

日中に外出して通所、勤務などの活動をすることができない65歳以上の高齢者利用者または、障害支援区分4以上の重度利用者が対象者ということになります。

 

「日中を共同生活住居の外で過ごすことが困難」について

「日中を共同生活住居の外で過ごすことが困難」については、通所や勤務が全くできない利用者さんであれば、問題なく対象になると考えられますが、例えば、週2日、月曜日・木曜日のみ通所している利用者さんが通所していない火曜日・水曜日・金曜日をどうとらえるかが問題となります。

週2日とはいえ、外出している訳だから、「日中を共同生活住居の外で過ごすことが困難」とは言えないと考えるのが自然のようにも思いますが、過去のQ&Aに以下のような質疑応答があります。

問27  週に2日だけ日中を共同生活住居で過ごす入居者についても日中支援加算(Ⅰ)を算定してよいか。

答  設問のようなケースであっても、当該利用者のサービス等利用計画と整合性を図りつつ、個別支援計画に位置づけた上で日中に支援を行った場合には、日中支援加算(Ⅰ)の算定が可能である。

平成 26 年度障害福祉サービス等制度改正に関するQ&A

このケースの取り扱いについては、指定権者により見解が分かれますので、必要に応じて、問い合わせを行なうことお勧めします。

 

職員体制

日中に支援を行なう世話人または生活支援員を加配することが必要です。

加配
加えて配置すること

具体的には人員基準上で最低限必要な世話人または生活支援員を常勤換算数で0.1人以上上回るように配置をすればよいということです。

加配の例:世話人が常勤換算で2.3人、生活支援員が常勤換算で0.8人最低限必要な事業所の場合
①世話人を常勤換算で2.4人以上になるように配置する

 または

②生活支援員を常勤換算で0.9人以上になるように配置する

尚、加配する世話人・生活支援員は、外部委託など事業所の従業者以外の人でも問題ありません。

尚、加配した世話人・生活支援員の勤務時間については、人員基準上の世話人・生活支援員の常勤換算数を算定する際の勤務時間には含むことができませんのでお気をつけください。

 

個別支援計画への位置づけ

個別支援計画に位置付けることが必要です。

アセスメントにより、その利用者が日中に必要とする支援内容を明確にし、計画に記載します。

 

支援の実施

実際に、日中に支援を実施することが必要です。

計画に位置付けた支援内容を実施します。

但し、土曜日、日曜日、国民の祝日については支援を行なっても、加算の算定はできません。

算定できない日
土曜日、日曜日、国民の祝日

 

 

日中支援加算(Ⅰ)の報酬

 

報酬算定の仕組み

日中支援加算(Ⅰ)の報酬は、日中支援加算の対象となる支援を行なった利用者を対象に、1日ごとに算定できます。

算定対象 算定方法
日中支援加算(Ⅰ)の対象となる支援を行なった利用者のみ 1日ごと

 

単位数は、同じ日に、事業所全体で日中支援加算の対象となる支援を行なった利用者の数によって異なる仕組みとなっています。

尚、利用者の数をカウントする際には日中支援加算(Ⅰ)だけでなく、日中支援加算(Ⅱ)の対象利用者も含めます。

支援を行なった利用者の数(事業所計) 単位数(1人につき・1日につき)
1人 539単位
2人以上 270単位

 

 

報酬シミュレーション

対象者:1人
支援日数:20日
地域:さいたま市(3級地)→1単位単価:11.20

単位数:539単位

539✕20✕11.20=120,736円

 

対象者:2人
支援日数:20日
地域:さいたま市(3級地)→1単位単価:11.20

単位数:270単位

270✕2✕20✕11.20=120,960円

 

対象者:3人
支援日数:20日
地域:さいたま市(3級地)→1単位単価:11.20

単位数:270単位

270✕3✕20✕11.20=181,440円

 

対象者が1人なのか、2人以上なのかで報酬が変わる仕組みとなっている関係で、対象者が1人でも、2人でも報酬はほぼ同額になります。対象者が3人以上の場合は、報酬が増額されるイメージです。

 

 

 

 

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